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CAREER STORIES 2

ジャガー・ランドローバー東京ベイ有明
セールス マネージャー

磯部 慎二

BCJapan株式会社 新車販売課 課長 2002年入社

<PROFILE>

大学卒業後、エンジニアの専門学校を経て、25歳のときに新入社員として株式会社ジャガー東京*1に入社。数々の失敗を繰り返しながら、自分らしいセールススタイルを確立。昨年、課長に昇進し、今後は若い世代の育成にも力を入れていきたいと語る。

セールスコンサルタント修行時代
25歳のとき、新卒としてジャガー東京*1に入社。
それまでの人生で接したことのないお客様に、戸惑いながら接客する日々。
尊敬できる先輩との出逢い
教育係の先輩との出逢いで失敗にもめげず多くの商談を経験!
トップセールスへ(11年目~現在)
データを活用した緻密なセールスと、お客様へのきめ細かな心配りでトップセールスに。

別世界のお客様に戸惑いを感じた新人時代

「大学を卒業した後、メカニックの専門学校に行ったんです。以前より車が好きで、そのなかでも、流線形のジャガーの美しいデザインには興味がありました。当時、最先端の自動車技術を採用していたことにも魅力を感じて、ジャガーに関わる仕事がしたいと考えていました」

磯部さんが新入社員としてジャガー東京*1に入社したのは、2002年のこと。専門学校の推薦を受けて、25歳のときに入社。最初に配属されたのは、本社の営業支援部。この部署で各拠点の営業業務をサポートしながら、輸入車販売の流れを覚えていった。そして入社2年目に配属されたのが、新橋のショールームだった。

「社会人になったばかりの私にとって、当店のお客様は別世界の方々ばかり。人生経験が豊富で、年代も、金銭感覚もまったく違うお客様とどう接して良いか分からず、最初はびくびくしながら接客していました。お客様や先輩に叱られたり、アドバイスをいただきながら、時間をかけてこの仕事に慣れ、成長してきたと思います」

失敗を許していただき、人生を通したおつきあいに

そのなかで、今でも忘れない大失敗がある。それは、セールスエグゼクティブとして、配属されて間もなくのことだった。

「ようやく成約にこぎつけたお客様の契約書に不備があり、修正をお願いしました。しかし、その修正が私の不注意で1度では済まず、数回にわたり修正をお願いすることになってしまいました。あまりの修正の多さに、お客様の我慢も限界を超えてしまい、ある時、プツンと切れてしまったんです。もう車は要らない、契約は破棄する!と逆鱗にふれてしまい、慌てて、当時の支店長とお客様のご自宅に謝りに行きました。しかし、なかなか会っていただくことができず、玄関の前で何時間も待って、ようやくお会いすることができたのは、深夜1時近く。その日は、お客様に謝罪するだけで精一杯でしたが、奥様が間に入ってくださったこともあり、『リセットしてはじめよう』と翌日、お客様からお電話をいただきました」

1人で解決することのできない大きな失敗だったものの、お客様、周りの上司や先輩の助けもあって、改めて契約してもらうことができた。

「実は、このお客様とは、車をご購入していただいた後も、長い間、お付き合いさせてもらいました。ご購入された車には、10年近く乗っていただき、年月を重ねるなかで人間的なつながりを育むことができたと思っています。2年前にそのお客様がお亡くなりになったのですが、その時、ご霊前で手をあわせながら、私の仕事を温かく見守り、怒ったり、励ましたりしながら育ててくださったお客様の顔が思い出され、自然に涙が溢れてきました。ご購入いただいた車は、今でもご家族がお客様の形見として、ご自宅のガレージに大切に保管されています」

人間味ある磯部さんの温かい人柄が垣間見えるエピソードだが、この仕事に向いていないと途中で投げ出したり、諦めたりせずに仕事を続けてきた今だからこそ、お客様との深いつながりを感じることができたのではないだろうか。

ピンチも見せてくれる先輩との出逢い

失敗をしながら、お客様に怒られながら、この仕事を続けてきた粘り強さの根底には、どのような思いがあるのだろうか。

「私が諦めずにこの仕事を続けてこられたのは、教育係の先輩との出逢いが、本当に大きかったですね。普通、新入社員の教育係になると先輩であれば、良い所を見せたいという心理が働くと思うのですが、この先輩は、良い所ばかりではなく、お客様からガンガン怒られるような商談にも同行させてくれました。先輩についたばかりの頃は、こんな大変なトラブルに新入社員の私が同行してもいいのだろうか・・・と戸惑ったこともありました。しかし、多くの商談に同行するうちに、世のなかには様々な考えや経験をされているお客様がいらっしゃるため、私たちのような接客業には、ある意味、トラブルはつきものであるということが分かってきました。重要なことは、トラブルが起こったことでなく、トラブルが起こったときにどう誠意を持って解決するか。そのことに気づいてから、自分の仕事に誇りを持ち、良い場面も、悪い場面も見せてくれる先輩の姿が格好いいと思えるようになりました。この先輩から学んだことが、今でも私の仕事の原動力になっています」

トラブルがあったときに、もう1つ磯部さんが大切にしていることがある。それは引きずらないこと。気持ちを上手に切り替えて、トラブルをどう前向きに乗り越えていくかを大切にしているという。

小さな積み重ねが大きな成果に

尊敬する先輩の姿を追いかけ、数々の商談を経験しながら、自分なりの仕事のスタイルを築いてきた磯部さんは、現在、ジャガー・ランドローバー新橋*2のトップセールスマンとして活躍する頼もしい人材へと成長している。

そんな磯部さんがお客様との商談をスムーズに進めるために工夫していることがあるという。

「ジャガーやランドローバーのお客様は、会社の経営者や著名人などの忙しい方が多いため、待たされることを嫌がります。お客様に折り返しのお電話が必要なときも、『明日お電話します』ではなく、『明日の10時までにお電話をします』と時間を区切るようにしています。また、その時間がだめだった場合も、『何時にお電話したら良いですか?』と伺うようにしています。些細なことに感じるかもしれませんが、こうした心配りが、その後の商談の進展を左右します」

忙しいお客様とピンポイントでつながっていくことが、次の商談のステップへと結びつき、最終的な成約へと結びついていくという。「神は細部に宿る」という言葉があるが、こうした小さな積み重ねが、大きな成果へとつながっていくのだ。

ジャガー・ランドローバー新橋*2は、2年前までジャガーのみを扱う販売店だった。2つのブランドを一緒に扱うことになり、店舗全体の売り上げにも相乗効果が生まれている。

「2つのブランドが一緒になる、と決まった時、社内からは反対の声もありました。それぞれ個性の異なるブランドが一緒になることへの抵抗感があるのではないかと心配でした」

しかし、実際のお客様の反応は、社内の心配をよそに上々だったという。

ジャガーをご購入いただいた既存のお客様にランドローバーのSUVをご案内したところ、たくさんのお客様にご購入いただきました。実際に当社のお客様のデータを調査してみると、ジャガーをお持ちのお客様の多くが、複数台の車を所有されているため、お客様の方がすんなりとランドローバーを受け入れてくださいました。今では、分け隔てなくそれぞれの車種の魅力をご紹介することを大切にしています。街乗りはジャガー、海や山に遊びに行く時はランドローバーと、シーンにあわせて乗り分けていただくこともできますし、買い替えのタイミングでジャガーからランドローバー、ランドローバーからジャガーへと乗り換えるお客様もいらっしゃいます」

*1 2021年6月にBCJapan株式会社に運営法人が変更
*2 2018年10月に移転、現在のJLR東京ベイ有明

失敗は、成長のひとつのステップ

ショールームでお客様から一番ご質問をいただくことは、安全性に関することだという。

「実際の現場では、壊れるの?というご質問をいただくことが良くあります。その場合は、回りくどく説明せずに、分かりやすい指標や数値でお伝えすることを心がけています。たとえば、レンジローバー イヴォークは、世界で最も厳しいといわれる衝突安全テスト『ユーロNCAP』で、最高評価の5つ星を獲得しています。この指標をお伝えすれば、忙しいお客様にも短い時間で、品質の高さを実感していただくことができます」

昨年、課長に昇進した磯部さんは、今後、若手の育成にも力を入れていきたいと考えている。

「現場で仕事をすれば、失敗することや怒られることが必ずあります。しかし、私たちの仕事には、失敗の苦い思いを吹き飛ばすような大きな喜びがあります。最近は、怒られることが苦手だったり、先回りして失敗を避ける傾向があると思いますが、『失敗』は自分を成長させる大切なステップのひとつです。数多くの失敗を繰り返してきた私が言うのですから間違いありません(笑)仕事をすれば、いろいろなこともあると思いますが、くじけずに、ぜひ続けていってほしいと思います。今年、当ショールームに、大学を卒業したばかりの新入社員が入ってきました。私が先輩に見せてもらったように、仕事の良い場面も、大変な場面も一緒に共有しながら、この仕事の魅力を伝えていきたいと思っています」